Tomorrow
ほとんどの健常者といわれる人は、学生時代を終え、社会人となり、結婚して、当たり前のように家庭を持ち、子育てをして、年老いていく人生を思い描くだろう。でもはたしてそれが人間が求める理想の幸せの形なのか、ふと疑問に思う。
あなたにとっての当たり前が、全く通用しない世界がある。突然、病気になって動けない身体になったとして、明日に希望を抱けるだろうか。
他人から見たら可哀想な人。障がいがあって不自由に見えても、挑戦することにより、むしろより生き生きと暮らしている人がいることを、心の片隅において頂けたら嬉しい。
神奈川県は、7つの障がい者サッカー団体が活動していて、かつJクラブが多数存在する全国でも稀な県。
7つの障がい者サッカーとは、①アンプティサッカー(切断障がい)②ブラインドサッカー(視覚障がい)③デフサッカー&フットサル(聴覚障がい)④CPサッカー(脳性まひ)⑤電動車椅子サッカー(重度身体障がい)⑥知的障がい者サッカー(知的障がい)⑦ソーシャルフットボール(精神障がい)のこと。
6つのJクラブと障がい者サッカー団体が融合して、「サッカー」というツールを通じて、唯一無二の空間を作り上げた。それが10月9日(土)に開催されたオンラインイベント「JFAフットボールデー インクルーシブフットボールフェスタ神奈川2021」だ。神奈川県サッカー協会主催、日本障がい者サッカー連盟(JIFF)共催のこのイベントは、「障がいの有無に関わらず混ざり合える共生社会の実現」に向け、7つの障がい者サッカーを知ってもらう機会を作るとともに、誰もが家の中でも楽しめる機会を作ることを目的として、神奈川県では初めて実施された。
価値観の裏側レポート
会場に集まったのは限られた数名で、あとはオンラインで楽しめるように工夫。我らが電動車椅子サッカーは、コロナ感染拡大の状況をみて、選手の参加は自粛せざるを得なかった。健常者のスタッフが中心となり、湘南ベルマーレのスタッフの皆さんのお力を借りて実施。
前半の「競技説明会」は私が事前に収録したものを、そのまま配信した。最後に日本代表を経験している、このイベントに向けて一緒に準備してきた、永岡真理選手のコメント動画も流した。
後半は「まぜこぜサッカー」として「視聴者参加型のアクティビティ」を実施。「まぜこぜサッカー」とは年齢やサッカー経験の有無に関わらず、さらに電動車椅子ユーザーや全盲の人も参加できるような、いろんな人が混じり合ったサッカーのこと。
アクティビティは、障がい者サッカー団体とJクラブがコラボして様々な企画を実施。電動車椅子サッカーはオンラインで難しいので、PK合戦を実施。キッカーの1人は、JIFF会長の元日本代表選手の北澤豪氏。もう1人は湘南ベルマーレのスタッフの鈴木さん。当日、空いている時間に、私のチームの総監督の金田の指導の下で猛特訓を積まれた。
白熱したPK戦。湘南ベルマーレのマスコット「キングベルⅠ世」がキーパー役になり、2本勝負の最後の1本の湘南ベルマーレの鈴木さんのキックをファインセーブ。瞬間的にとてつもない反応を見せて、同門対決を制した。そして北澤会長の勝利で幕を閉じた。
その他の障がい者サッカー団体もそれぞれの特性を活かして、様々なパフォーマンスを披露。イベントの最後は、視聴者の皆さんと一緒になってダンスで体を動かして、フィナーレ。
いつでもどこでも(ONLINE)
この経験を通じて改めて思った。コロナ禍になって人と人が気軽に直接会えなくなったことにより、zoomなどの通信アプリの存在価値が一気に高まった。オンラインであればタイミングさえあれば、いつでも誰かとコミュニケーションが取れる。オンラインを活用しているイベントなどの催しは、スケジュールさえ空いていれば気軽に参加できる。しかも世界規模である。
会場の皆さんとの一体感を感じて、楽しめるイベントを作り上げられた充実感を、スクリーン越しで満喫した。他県の方にもオンラインだからこそ参加して頂けた。
スポーツの力を信じたい
改めてこれからも歩みを止めることなく、障がい者サッカーの普及と発展のために、自分ができることはやり切っていこうと思った、かけがえのない1日。ネガティブをポジティブに変える、スポーツの力は偉大だ。
Comments